第3回 法人会公開講座
講師  読売新聞特別編集委員

橋本 五郎 氏
講演テーマ
「どうなる日本!
  −政治経済ここがポイント」
 

日時 平成21年5月21日(木) 14:00〜15:30
会場 木更津市民会館 中ホール

   
橋本 五郎氏  
既報の通り、木更津法人会は公益法人認定へのプロセスとして、組織自体の変革並びに各種制度の見直しと改革に着手し、準備を進めているところです。

また、もう一方の柱として「情報公開」「公益事業の占める割合を50%以上」の条件をクリアすべく各種事業を広く一般に向けて実施する形態に転換しつつあります。 昨年に続き、総会前の講演会を会員以外にも聴講可能な形として実施いたしました。

今回の講師は、読売新聞特別編集委員としてご活躍の橋本五郎氏です。現在日本テレビ系「ズームイン!!SUPER」に出演、 新聞記者としての視点から政界の内情・福祉についてお話をいただきました。

【ハプニングなし】

今年も総会の季節を迎えました。例年と違うのは講演会が総会の前に開催されること。 開始時間が早まり多くの一般の方の姿がありました。なかには「先生の大フアンなんです」という声も聞かれました。

会場に着かれた講師の橋本先生はほんの僅かの休憩の後、いよいよご登壇です。先生のプロフィールの紹介に続き講演会が始まりました。
「えー橋本です。よろしくお願いします。タイトルは『どうなる日本』とでっかくいきましたけれど、どうなるか はさっぱりわかりませんね。午後のひととき気楽な気持で『当たるも八卦あたらぬも八卦』と、言っていることはだいたい 『そう当たらない』という前提で、気楽な気持でお聞きになって頂きたい、そう思います。」という挨拶で始まりました。

【名前の由来】

先生は6人兄弟の一番下でお姉さんが一人、男5人の5番目で名前が五郎なのだそうです。

【何か変!】

食糧の自給率が4割に満たないと言いながら、田んぼは4割が作られていないという。何か変ですよね。

車の排気ガスが地球温暖化になるよと言いながら、高速道路の通行料を1,000円にするから、 もっと走れ、もっと走れと言っている。ちょっと考えると変な話。

今度の新型インフルエンザ、最初の段階で早め、早めに手を打つことは必要。 しかし一人出たからと言って学校閉鎖するとかしないとか。こういう話、変じゃないですか。

定額給付金、準備する時間が随分あったのに(なかなか法案が通らなかったから) 未だに手元に届いてない所がいっぱいある。おかしいじゃないですか。

支持率67%で選ばれた麻生さん。しかし2ヶ月で麻生内閣の支持率が一桁になっている。 その時誰が支えていましたか。67%の人が支持していたんですよ。おかしいじゃないですか。支持していた人はどこへ行ったんでしょう。

秋田で水着コンテストの審査委員長になってくれと言われて行った。水着コンテストなのに「男」が二人いた。おかしいじゃないかと言ったら 「女性に限る」とは書いていないと。大笑いしながら終わりましたが、このようなことをやらなければ人が集まらない地方は大変ですと。

【本当の福祉とは】

かわらなでしこ

先生のお母様は15年前に81歳でお亡くなりになりました。ここで先生がお話してくださったお母様をぜひご紹介させて頂きたいと思います。 先生は、「この世の中にいろんな痛みがある。そのいろんな痛みが今地方にしわ寄せいってる。その痛みにちゃんと応えるのが政治じゃないか。 私はそう言っているんです」と。

先生のお母様は、電車が2、3時間に一本しか通らないという過疎の地で30年間、一人暮らしをされていました。 脳梗塞で倒れ、意識が回復することなく旅立たれました。 残された遺書には「母、万一の日のために、子供たちへいつ、いかなる時に死のうとも、私は悔いもなければ未練も全くない。みんなに大事にされ、幸せすぎてもったいな いような一生だった」と書かれてあったそうです。 私達には悔いが残っています。側にいれば死ぬことは無かった、そういう悔いが今でもずっと残っていますと。 先生は「何度秋田に帰って、一緒に住もうと思ったか分からない、でも出来ないんです。わが町には勤め口がない。 今でも東京に出稼ぎに来ていると思っています。いつか帰ろうと、思って」と涙ぐまれていらっしゃいました。

1年後、お母様の追悼録を作られました。この本を作っている時に、秋田県で福祉の施設が整っている市で一人暮 らしの年寄りが亡くなって、何日も経って発見されたということをニュースで聞いて、お母様が怒りを込めて地元の 新聞に投書された時の原稿の写しがでてきたそうです。

「福祉とは何か、建物を作るのが福祉なのか。そうじゃないでしょ。一人暮らしの年寄りに一声掛けようとするその気持が福祉じゃないのか。 雪が降る、雪がしんしんと積もってゆく。一人暮らしの年寄りは何を思うか。思うことはただ一つ、もう寂しくなって死にたいと思う。 雪の中に入れば楽に死ねるなあと思う。 自分も何度そうしようと思ったかわからない。一歩足を踏み出して外へ出ようとした、そしたら電話がかかってき た。一人暮らしの年寄りから、『もう死にたい』と言う電話がかかって来た。その時ハッと思って『なにバカなこと言 ってる。死んで何になる』と叱りながら、自分も死ぬ誘惑からまぬがれることができた。 吹雪の日、だれから電話が掛かってくるか、駐在所のお巡りさんから『吹雪いているけど元気にしてる?』この電話がどんなに嬉しいかわからない。 郵便屋さんが『息子さんから現金封筒がきたよ』この電話、この声にどんなに勇気づけられるかわからない。 福祉は建物じゃない。福祉は心だ」と書いてあったそうです。
先生も「実感をもってそう思います。その心が足りないと思う」と話されておられました。

私の小学校がもうなくなる。閉校式をやりました。その時歴代の校長先生が来ました。皆口々に「お母さんには毎日お花を頂いてた」そう言われました。 庭で花が咲く、畑で花が咲く、しかしその花をあげる子供は近くにいない、どうするか。近くの小学校に届ける、 保育園に届ける、施設に届ける、こうすることがせめてもの慰めだったんだしょう。 私は改めて「一人暮らしの年寄りの孤独の深さを知る思いがしました」と話されておられました。

いま、日本はすごくおかしいことがいっぱいあります。東京ばかりが栄えて地方がダメになっていく。市町村が合併し、県庁所在地だけが大きくなっている。こんなことおかしい。 こんな大変な時だからこそ、今こそ立ち止まって本当に「幸せってことは何だろう」って考えなければいけない。そして、それを大きな意味でどうしたらいいかという事をや はり政治は大きな構想を示さなければいけない。そして誰が政権をとろうが、一人暮らしの年寄りを悲しませてはいけない、私はそう思う。

「どうなる日本ということだったんですけども、さっぱりわからないまま終わることになってしまいました」と結ばれて講演会は終了いたしました。
昨年9月に福田総理が突然辞めた。そこで5人が立候補。公開討論会で橋本氏が候補者5人に他の4人より自分が優れているのは何なのかと質問。
その答えは次の通り。

麻生氏・・・・・経験
石原氏・・・・・若さ
小池氏・・・・・女性として総裁選に初めて立候補したこと
石破氏・・・・・地方の痛みが分かる
与謝野氏・・・・心優しい暖かい政治ができる

一番人柄が出ているのは誰か?
(文 広報副委員長 山村良子)